経営事項審査について
「経営事項審査」は、公共工事の入札に参加する建設業許可を受けた建設業者が必ず受けなければならない審査です。
官公庁等の各発注機関は入札に参加する建設業者が欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けを行います。
このうち客観的事項の審査が経営事項審査(経審(けいしん))と呼ばれています。経営事項審査各項目の評点を特定の計算式にあてはめ、
「総合評定値」を算出します。「総合評定値」の請求は、経営状況分析結果通知書(原本)が必要で、「経営規模等評価」の申請と同一の様式で申請することができます。(建設業法第27条の23から第27条の35)
また発注者と請負契約を締結する日の1年7ヶ月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経営事項審査を受けていなければならないことから(建設業法施行規則第18条の2)、
毎年度継続して審査を受けておく必要があります。
「経営規模等評価申請」、「総合評定値」の手続きに関しては、許可行政庁に直接お問い合わせください。
1.評価項目及び基準
- 総合評定値 (P) = 0.25× (X1) + 0.15 ×(X2) + 0.20× (Y) + 0.25 ×(Z) + 0.15× (W)
綜合評定値(P)は、下記の評価項目ごとに算出された数値をもとに、計算式に従って業種別に算出します
| 評価項目 | ウエイト | 評点幅 | 細目 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 工事種類別年間平均完成工事高(X1) | 0.25 | 2,268 ~ 390 | 完成工事高(業種別) | 申請した工事種類ごとに算出し、2年平均または3年平均を選択 評点の上限1000億円 小規模業者間で評点に差がつくように評点テーブルを修正(最低点を400点に引き下げ) |
| 自己資本額及び利益額(X2) | 0.15 | 2,280 ~ 454 | 自己資本額 (=純資産額) 利益額(EBITDA) | 自己資本額は、基準決算における純資産合計または、2年平均を選択 利益額は、2期平均の額 自己資本、EBITDAの金額をそれぞれ数値化し、1:1で合算 中小企業の層で極端な差がつかないように評点テーブルを設定 職員数の評価は廃止 |
| 経営状況(Y) | 0.2 | 1595 ~ 0 | 純支払利息比率 負債回転期間 売上高経常利益率 総資本売上総利益率 自己資本比率 営業キャッシュフロー(絶対額) 利益剰余金(絶対額) | 特定の評価項目(固定資産等)への偏りを緩和し、
負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性及び絶対的力量を評価できる8指標を選定 ペーパーカンパニーが過大な評価とならないなど、企業実態を反映した評点分布となるよう評点幅等を見直し 会計基準によって差が生じにくい制度設計 |
| 業種別技術職員数及び 工事種類別年間平均元請完成工事高 (Z) | 0.25 | 2,366 ~ 450 | 技術職員数(業種別) 元請完工高(業種別) (=純資産額) | 技術職員数評点は、業種別に審査基準日現在の人数で算出 元請完成工事高は、工事種類ごと2年平均または3年平均を選択((X1)で採用したルールに基づく) 元請のマネジメント能力を評価する観点から新たに元請完成工事高を評価 技術者数と元請完成工事高をそれぞれ数値化し、概ね4:1で合算 技術者の重複カウントは一人当たり2業種までに制限、一定の要件を満たす基幹技術者(法令に基づく制度化が前提)を優遇して評価 監理技術者講習受講者を優遇して評価 評点テーブルを線形式化 |
| その他の審査項目(社会性等) (W) | 0.15 | 1,750 ~ 0 | 労働福祉の状況 建設業の営業年数 防災活動への貢献の状況 法令遵守の状況 建設業の経理に関する状況 研究開発の状況 | それぞれの項目について加点幅・減点幅を拡大するとともに、評点の上限を引き上げ、社会的責任の果たし方によって差のつきやすい制度設計とする 労働福祉の状況は評価項目を整理統合 法令遵守の状況は、審査期間内における建設業法に基づく監督処分の状況を評価 建設業の経理に関する状況は、現行の社内で雇用する公認会計士等の数の評価に加え、会計監査人又は会計参与を設置している場合、有資格の経理実務責任者による会計のチェックがなされている場合に加点 研究開発の状況として、研究開発費の金額を評価評価対象は会計監査人設置会社に限定 |
2.X1のポイント
完成工事高は、施工能力を端的に示す量的指標として今後もその重要性に変わりはないものの、経審における完工高重視は、企業間の完工高競争を助長し、 その合理的な経営戦略を歪める一因となっているものと考えられ、市場における企業評価が利益を重視していることとの乖離が問題点として指摘されていました。 そこで、ある程度完工高をあげているのであれば、利益や資本の充実といった経営の内容によって差別化をはかることが適当であり、 小規模事業者間でも評点に差がつくように評点テーブルが改められています。
3.X2のポイント
経営の内容を今まで以上に重視した評価とするため、自己資本と利益額をそれぞれ数値化したものの合計値を評価する。自己資本額は
「純資産額」、利益額の指標は、年毎に大きく変動しないことや会計基準によって大きく差異が生じない等の考慮のもとに
EBITDA(利払前税引前償却前利益=営業利益+減価償却費)が採用されました。また、商社や兼業企業が極端に高得点にならないように、
自己資本額については3000億円、EBITDAについては300億円を上限としています。
4.Yのポイント
改正前と比べ点数分布の適正化が図られ、営業キャッシュフロー絶対額(2期平均)、利益剰余金の絶対額が導入され、過小資本のペーパーカンパニーの過大評価を排除しています。 改正された指標では、流動・固定の区分によって影響がでる指標が1指標のみとなり、実質的に同一の経済行為であるにもかかわらず、計上される勘定科目の差異によって 評点に差が出るケースを減少させています。決算期をずらすなどの企業行動の歪みの動機付けとなっていた完成工事未収入金の多寡により評価が上下する項目を全廃し、 有利子負債の水準による直接的な影響を限定的なものにするなど、会計基準が評点に与える影響を極小化しています。
中小企業では、改正された新指標では高得点をとることが難しく、資本規模の大きい企業間で差がひらく傾向にあります。
Y点の各指標の計算式については、経営状況分析の各指標をご覧ください。
5.Zのポイント
公共工事のマネジメント能力を量的に評価するために「元請完成工事高」を評価項目に加え、技術者数と元請完成工事高をそれぞれ数値化し、合計したものを評価します。 技術者の重複カウントは1人当たり2業種までで、新たに登録基幹技術者講習を終了した者を 登録基幹技術者として評価します。技術職員について2期平均を採用する激変緩和措置は廃止されています。
| 1級技術者 | 基幹技術者 | 2級技術者 | その他 | |
|---|---|---|---|---|
| 監理技術者資格者証保有 かつ 監理技術者講習受講 | 1級技術者であった左以外の者 | |||
| 6点 | 5点 | 3点 | 2点 | 1点 |
6.Wのポイント
企業の社会的責任に対する関心が高まるなか、建設業においても社会的責任を適切に果たしている企業を高く評価する必要から、 評価項目及び各項目の加点・減点幅が見直されています。
| 項目 | 評点 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| W1:労働福祉の状況 | 45 | 退職一時金、企業年金は1つの評価項目に統合 W1項目全体での下限0点を撤廃 | |
| 雇用保険未加入 | -30 | ||
| 健康保険・厚生年金保険未加入 | -30 | ||
| 建退協加入 | 15 | ||
| 退職一時金もしくは企業年金制度の導入 | 15 | ||
| 法定外労災制度への加入 | 15 | ||
| W2:建設業の営業年数 | 60 | 上限、下限(5~35年)、加点幅を引き上げ | |
| W3:防災協定締結の有無 | 15 | 加点幅を引き上げ | |
| W4:法令遵守状況 | -30 | 審査期間内に営業停止処分を受けた場合は-30点、指示処分を受けた場合は-15点 | |
| W5:建設業の経理の状況 | 30 | 会計監査人の設置20点、会計参与の設置10点、社内の経理実務責任者(公認会計士等数の加点対象有資格者から2級経理事務士を除く)のチェックリストに基づく自主監査2点 社内に雇用する公認会計士等の数を評価 | |
| 監査の受審状況 | 20 | ||
| 公認会計士等数 | 10 | ||
| W6:研究開発の状況 | 25 | 加点対象は会計監査人設置会社に限定し、公認会計士協会の指針等で定義された研究開発費の金額を評価 | |
| 合計 | 175 | ||
7.その他
虚偽申請を行っていた場合の営業停止期間が15日から30日に倍増され、(W)の「監査の受審状況」において加点されていた企業の場合は営業停止期間が45日となります。
一定の企業集団に属する建設業者(連結子会社)について、経営状況の評点を当該企業集団の連結財務諸表によって評価する新たな企業集団評価制度があります。